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オーガニック食品がもたらすメリット
- 2025.05.28
- 健康
健康や自然環境に配慮したギルトフリーな食事方法の1つに、オーガニック食品を取り入れた食事があります。自然の恵みを活かして生産されるオーガニック食品は、特に「子どもたちにより良い食事を提供したい」という希望を持つ人々から高い注目を集めています。
とはいえ「体に良さそうな自然派の食品」というイメージはあるものの、実際にオーガニックとはどのような食品のことを指すのか、どのようなメリットがあるのか明確にわかっていない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日本の食における「オーガニック」の定義やその魅力、子どもの食育におけるオーガニック食品の意義についてご紹介します。
「オーガニック」とは?

オーガニック(organic)は日本語で「有機」を意味し、化学肥料や農薬を使用せず自然の恵みを活かした生産・加工方法を指します。野菜などの農産物や加工食品について使用されることが多い言葉ですが、上記の方法で生産・加工されたものであれば化粧品などの加工品も含まれます。
「オーガニック食品」と一口にいっても、単純に化学肥料や農薬を使っていない食品であれば「オーガニック」の名を冠して良いというわけではありません。食における「オーガニック」の定義は、各国それぞれで基準が設けられています。
日本には農薬や遺伝子組み換え技術の使用の有無、輸送方法など、農林水産省が定めた仔細にわたる国家規格があり、公平中立な第三者機関のチェックを経て許可された生産者・加工業者のみが「有機JAS認証」を得てオーガニック食品を謳うことを許可されます。有機JAS認証を受けた生産者・加工業者は、そのことの証明である「有機JASマーク」を商品に貼付する必要があるため、消費者にとっては有機JASマークの有無がオーガニック食品かどうかを見分ける判断基準となります。
日本は世界各国と比べて、この有機JAS認証のルールやプロセスが複雑であるとされています。つまり日本においてオーガニック食品として販売されている商品は、厳しい条件をクリアしたことが証明されたものであるということです。
オーガニック食品のメリット
一般的なオーガニック食品のメリットは大きく3つあります。
安心・安全な食卓につながる

オーガニック食品は、前述の通り第三者機関の認証を受けたもののみが販売可能とされています。そのため農薬や添加物の不使用など、生産過程の透明性が担保されているのが魅力です。
もちろん現在日本で販売されているすべての食品は、食品衛生法のもとで安全性が確認されているため、原則安全なものです。しかし特に小さなお子様の場合、残留農薬や化学物質の影響を大人よりも受けやすい可能性があります。オーガニック食品を選ぶことで、より健康への影響を受けるリスクが低減されるのは大きなメリットといえます。
地球環境に優しい

有機農業は「循環型農業」とも呼ばれ、自然への負荷が少ないことも魅力です。
農薬や化学肥料を使用しないため、土中に含まれる微生物が活発化し、豊かな土を育みます。また農薬や化学肥料による川や海、大気の汚染を防ぎ、周辺の生物の多様性を守ることにもつながるのです。
食材本来の味が引き出される

オーガニック食品は強い農薬などを使用しないため、食材本来の旨みを引き出されるとされています。加工品においても甘味料や添加物は極力使用されていません。素材本来の味を活かしたオーガニック食品は、子どもの味覚形成にも最適といえるでしょう。
またオーガニック野菜は、農薬不使用の生育過程で抗酸化物質やビタミンCが豊富になるなど、栄養価のメリットがあるともいわれています。栄養価に関してはさまざまな研究結果が報告されているため、一概にオーガニック食品の方が優れているといえない部分もありますが、栄養面でのメリットに期待してオーガニック食品を手に取る人も少なくありません。
食卓にオーガニック食品を取り入れる際の注意点
「オーガニック=完全無農薬・添加物不使用」ではない
「オーガニック食品=無農薬・添加物不使用」ととらえられがちですが、一部の農薬、食品添加物の使用は認められています。
農薬完全不使用の野菜は「無農薬野菜」といいますが、厳密に無農薬と定義するのが難しいという背景から現在は「無農薬」の表示は農林水産省によって禁止されています。代わりに「特別栽培農産物」と表示することは認められているため、農薬使用が気になる場合はそちらを選ぶ必要があります。
加工食品には、添加物も含んだすべての原材料名が表示されているため、もし気になる場合は原材料表示をチェックするようにしましょう。
価格が高価かつ入手が困難
オーガニックは生産過程に手間と時間、費用がかかるため、そのコストが商品価格に反映され、一般的な食品よりも高価になります。また生産量が限られることなどから一般流通が少なく、スーパーなどで入手しづらい面もあります。
さらに保存料の使用がされていない場合も多いため、品質の低下や傷みやすさにも課題があります。保存が効かず頻繁に購入が必要にも関わらず、価格面や販路から購入のしづらさがあるのは、継続的にオーガニック食品を取り入れる上でデメリットとなるでしょう。
オーガニック野菜は処理がネック

オーガニック野菜は一般的にスーパーに並んでいるものと違い、泥がついたままになっていたり、形が不揃いだったりします。虫食いがあることもあるため、使用できる形に整えるまでの処理に時間がかかるのがデメリットといえます。
子どもの食育とオーガニック食品

近年では安全・安心な食への関心の高まりを受けて、全国でオーガニック給食を取り入れる学校が増えています。給食という形で子どもたちが日々オーガニック食品に触れることは、上記メリットに加えて子どもの食育の面で重要です。
例えばオーガニック給食を通じて、子どもの内から食の安全について学ぶことができます。毎日の給食で得た食の安全性への知識は、子どもが自分で食を選ぶ際の指針となることが期待できるでしょう。
またオーガニック食品は地産地消を基本としているため、栄養士が子どもたちに農家を紹介するといった取り組みをしている学校も少なくありません。生産者の顔が見えることで、食べ物の大切さや生産者への感謝の気持ちを醸成できます。
このように日々の給食から健康で豊かな食生活について学ぶことで、生涯にわたる食文化の向上につながるものとなるのです。
家庭で無理なく続けるオーガニック
オーガニック給食の例からもわかる通り、日頃の食生活からオーガニック食品に触れることは子どもの食に対する意識に大きな影響をもたらします。しかし家庭で継続的にオーガニック食品を取り入れるのはなかなか難しいもの。子どもと一緒に食事を楽しむことを前提に、無理なくオーガニックな食生活を続ける秘訣を紹介します。
普段使用する食品の一部をオーガニックに置き換える

家庭の食事において、いきなりすべての食品をオーガニックにするのはなかなか大変なもの。そこでまずはお米や調味料、お菓子など、普段から口にする食品の一部をオーガニック食品にするところから始めてみることをおすすめします。
特に調味料はさまざまな種類があり、食事に必ず使用するものであるため、調味料をオーガニックにするだけで毎日の食生活に大きな変化が生じます。素材にこだわったオーガニックの調味料を取り入れることで、毎日の食事の味わいにも違いが出てくるはずです。
緩やかな基準でオーガニック食品を選ぶ

完全オーガニックにこだわって食品選びを行うと、入手の手間や費用負担が大きくなります。減農薬の食品やできるだけ添加物が少ないものを選ぶなど、完璧を目指さず緩やかな基準で商品を選ぶようにしましょう。
また自身の食へのこだわりは、家族や友人も含めた周囲にも影響を及ぼします。子どもがジャンクな食べ物を希望するときなどに押さえつけてしまうと、かえって反発を招きかねません。またオーガニックにこだわるあまりに友人との食事が制限されると、自身のストレスにもなります。
たまには子どもにもジャンクフードを食べさせる、外食の際には制限を設けないなど、適度に息抜きをすることがオーガニックの食生活を続ける上で大切です。
家庭菜園にチャレンジ

新鮮で安全な野菜を入手するためには、家庭菜園で有機栽培にチャレンジをしてみるのも良いでしょう。まずはベランダでのプランター栽培などから始めてみることをおすすめします。子どもと一緒に家庭菜園をすることで子どもの食育への好影響も期待できます。
まとめ
日本では欧米諸国に比べると、まだまだオーガニック食品の普及やオーガニック食品に対する認識の遅れがあるとされています。家庭の食事にオーガニック食品を取り入れることで、子どもの食の安全性や環境への意識を自然と高めていけるはずです。オーガニック食品のメリットを認識した上で、無理なく楽しくオーガニックな食生活を始めてみましょう。