FOOD AND LIFE食と生活
ベジタリアンとヴィーガンの違いと様々なタイプ
- 2023.08.03
- 食と生活
目次
ベジタリアンやヴィーガンという言葉を聞くと、菜食主義で制限が多い食事法をイメージされるかもしれません。しかし実際は多くのタイプがあり、それにより摂取できる食品も変わってきます。
今回はベジタリアンとヴィーガンの違い、それぞれに分類されている様々なタイプをご紹介します。健康的な食生活の軸の一つとして、できる範囲から取り入れてみてはいかがでしょうか。
※分類方法は2023年5月時点の世界的なベジタリアン推進団体である国際ベジタリアン連合(International Vegetarian Union)の定義に基づき、一部項目を追加しています。
ベジタリアンとヴィーガンの違い
ベジタリアンとヴィーガンの主な違いは、動物性製品の摂取可能範囲にあります。主に以下のような違いがあります。
ベジタリアンとは
ベジタリアンは一般的に動物の肉を食べない人々を指します。主に果物・野菜・豆類・穀物を食べますが、一括りにベジタリアンと言っても様々なタイプがあり、卵・牛乳・チーズ・ヨーグルト・蜂蜜などの動物由来の食品を食べることもあります。
ヴィーガンとは
ヴィーガンは食事だけでなく生活全般を通じて、動物性製品を避けるライフスタイルを指します。肉、乳製品、卵、蜂蜜などの動物由来の食品を一切摂取しないことはもちろん、動物実験を行った化粧品や動物の皮革を使用した衣服なども基本的に使用を避けます。
ベジタリアンとヴィーガンにおける肉(動物性食品)の認識
ベジタリアンとヴィーガンの食事において、肉には大きく哺乳類と魚類が含まれます。ここでは、肉と認識されている食肉と魚、その副産物の認識を紹介します。
食肉の認識
食肉に含まれる動物は、豚・牛・鹿・羊など、四つ足の哺乳類がほとんど含まれます。クジラなどの海洋生物も哺乳類のため食肉とみなします。このほか、卵生である両生類のワニや、鳥類も食肉と分類されるため食べることはできません。また、これらを使った出汁なども食肉に含まれるため、スープなどにも注意する必要があります。
魚(肉)の認識
基本的にエラのあるものは全て含まれます。魚のほか、甲殻類、イカやタコなども含まれます。食肉同様、それらに付随する卵や出汁なども摂取できません。
蜂蜜が動物由来の食品となる理由
ヴィーガンは動物の命をいただくということだけでなく、労働や搾取などで動物が犠牲となることを避けます。蜂蜜は、蜂が労働して得られる食品です。蜂が持つ唾液や酵素によって花の蜜が分解されて蜂蜜になる上、本来は人間が食べるために作られたものではありません。そのため、乳製品や卵製品と同等に取り扱います。
ベジタリアンの様々なタイプ
ここからは、ベジタリアンに分類されるタイプをご紹介します。ヴィーガンもベジタリアンの一種ですが、ヴィーガンの中でもさらに分類されるため後述します。
ラクト・ベジタリアン
ラクトとは、ラテン語で「乳」を意味し、ラクト・ベジタリアンは乳製品を食事に含むことができます。宗教上の理由から実践する人が多くいます。
オヴォ・ベジタリアン
オヴォとは、ラテン語で「卵」を意味し、オヴォ・ベジタリアンは卵を食事に含むことができます。卵からのたんぱく質を摂取できること、卵料理が自由に食べられる点がメリットです。
ラクト・オヴォ・ベジタリアン
このタイプのベジタリアンは、卵と乳製品を食事に含むことが許されています。肉、魚を避けますが、その他の動物由来の製品は食べます。栄養素が偏らず、食事のバリエーションが増えるため上述した2つに比べて実践しやすいベジタリアンの食事方法です。
ヴィーガンの様々なタイプ
ヴィーガンも特定の食事の規則やライフスタイルによりいくつかのタイプに分けることができます。ここで紹介するタイプは必ずしもそうした食生活を送らなくてはいけないということではなく、健康状態やライフスタイルに合わせて自由に選択、調整することができます。
ダイエタリー・ヴィーガン(食事ヴィーガン)
ダイエタリー・ヴィーガンは、食事の中で動物由来の製品を一切摂取しない人を指します。肉、魚、卵、乳製品、蜂蜜などは避けますが、生活の他の面では動物由来の製品(例えば、皮革製の衣服や靴、動物実験を行った化粧品など)を使う場合があります。
エシカル・ヴィーガン(倫理的ヴィーガン)
エシカル・ヴィーガンは、動物の権利と動物福祉の観点から、動物性製品を一切使用しないライフスタイルを選択します。食事だけでなく、衣服、化粧品など、生活面でも動物由来の製品を使用しません。また、動物園やサーカスといったエンターテイメントを含むコンテンツ利用も避けます。
環境ヴィーガン
環境ヴィーガンは、動物産業がもたらす温室効果ガスの排出や森林崩壊、水資源の消耗などを減らすために、動物性製品を避けます。食事はもちろんですが、生活面では動物が与える環境負荷の捉え方によって、動物由来の製品を使う範囲が変わります。
ホールフード・ヴィーガン/ローフード・ヴィーガン
ホールフード・ヴィーガン/ローフード・ヴィーガンは、加工された食品を避け、全粒穀物、果物、野菜、豆類、種子、ナッツなど、加工されていない自然の食品を中心に食事を組み立てます。このタイプのヴィーガンは、食事から得られる栄養素を最大化し、食品加工による栄養素の損失を避けることを目指します。
フルータリアン
フルータリアンは、主にまたは完全に果物だけを食べるヴィーガンを指します。種子やナッツも摂取できます。
厳密にはベジタリアンとは言えないもの
国際ベジタリアン連合の定義では、全ての肉を食事から排除しない限り、ベジタリアンとは分類されません。しかし、ペスカタリアンやセミ・ベジタリアンは動物由来の食品の消費を減らすという点で、ベジタリアンやヴィーガンの目指す方向性と一致する部分があります。
ここで紹介するタイプは、健康面から栄養素をきちんと摂取しつつ、環境保護や動物保護の面から、無理のない範囲でできるだけ菜食にしたいという人たちには取り組みやすい方法です。
ペスカタリアン
魚、甲殻類、海産物を食事に含むことができますが、他のすべての肉類は避けます。また、乳製品や卵も食べることができます。
健康面や環境面から「完璧なベジタリアン・ヴィーガンは大変だけれど、魚や卵を食べられるならできそう」と、菜食生活の1歩目としてペスカタリアンを取り入れる人が多いようです。
ポロ・ペスカタリアン
鳥肉など、4足歩行の動物の肉でなければ摂取可能なベジタリアンです。乳製品や卵も食べることができますが、魚は食べることができません。
セミ・ベジタリアン(フレキシタリアン)
基本的にはベジタリアンの食事をしますが、週末や外食時だけ肉や魚を食べているタイプです。臨機応変に食材を選べるため、取り入れやすい食事法です。
環境も健康も意識した食事を無理のない範囲で取り入れよう
ベジタリアンやヴィーガンの選択は個人の自由ですが、それらを取り入れることが結果的に環境面や健康面にも寄与します。近年では家畜による排出ガス問題を含めた地球温暖化、世界的に過剰な漁獲や乱獲によって海の生態系のバランスまで崩れてしまうことが予想されており、地球環境や生態系を保護するために多くの肉代替食品が開発されています。
その中でも特に大豆は多くの肉代替食品をカバーしており、サンジルシ醸造ではそんな大豆の持つパワーを引き出した、ベジタリアンやヴィーガンといった食生活に寄り添う調味料を手がけてきました。
血糖値やコレステロール、脂質などを大きく気にせず、健康的で環境保護にもつながる食生活を目指すためにも、調味料からペスカタリアンやセミ・ベジタリアン(フレキシタリアン)の食生活を少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。